カーチャン問題

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 今年のGWはかなり長めのお休みとなるのですが、専門学校講師としましては長めの休みというのは鬼門でありまして、これを機に早期夏休みと言いますかぶっちゃけ不登校になってしまう生徒も多々おりまして、登校を促す電話指導対応も仕事として多くなってくるワケであります。


 本間もその対応に苦慮した覚えがありまして、ある年なんて毎日不登校生徒の誰かしらの携帯に電話をするのですが、まぁ出やがらないので仕方なく親御さんへの連絡へシフトチェンジするのですが、毎日違う生徒の母親に電話をかける姿は完全に間男。もしくは人妻デリヘル狂いのダメ人間といったカンジでして、「僕の仕事はお絵描きを教える事だったのでは?」とふと我に返って思うこともしばしばありました。


 以前にも話に出ました凹久保くんと言う生徒がいるのですが、学校どころか家にも帰らない生活を送っておりまして、どこで何をしていたのかと言いますと一人暮らしをしている恋人(コイツも生徒だった)の所に入り浸って腐った柿のような爛熟した生活をしていたそうで、それを心配したお母様からどうにか先生会って話を聞いて下さいとのことだったので、会ってきましたよ横浜の駅地下の喫茶店で。しかし話の内容としましては電話で済む内容のものでして、この面談によって体力を削られただけだったのですが涙ながらに話すお母様には、他に吐き出す所が無くこれも仕事だと思い話を聞いてさしあげましたが、僕の仕事はお絵描きを教える事だったのでは?


 次の日、当の凹久保くんが重役出勤してきたのですが、ツヤッツヤの顔で「チス」みたいなノリで教室に入ってきた時には、マジでブッ殺してやろうかと思いましたよ。ンで速攻で講師室に連れ込み、そんなんじゃどこの会社にも入れないよとテンプレ通りの説教を開始したのですが、本人の言い草が


「会社なんて選ばねーで小ちぇ会社とかだったらどっかしら入れるンじゃねぇっスか?」


といったもので、本間の中でこの子は先ず戸塚ヨットスクール永平寺でその性根の叩き直しから始めた方が良いのではないかという結論に至りました。


 現在の生徒の親御さん世代というのは、「教師」に対して大なり小なり恨みを持っている方も多いとと思われます。その理由は昭和の教師の暴力性等、理由は様々なものでしょう。もちろん全ての親御さんがそうだとは言いませんが、その過去への感情の暗黒面が現在自身の子供を担当する教育者に向かっているということは容易に想像できるでしょう。


 大阪校に畠中くんという不登校の生徒がいたのですが、この子ってば特別ゲーム制作に興味があった訳でもなくCGを制作したい訳でもなかったのですが、高校を卒業して行く先が無かったので母親に無理に入学させられたという経緯がありました。


 この畠中くんのお母様がまぁ厄介でして、毎日講師室に電話をかけてきて登校しない畠中くんへの心配事や学校に対してのクレームを並びたててくるんですが、本人の不登校の原因が当時の主任の心無い発言にムカついたとのことでしたが、我々講師陣がどう考えても当の主任の発言には問題は無く、確実に主任の責任にして登校しない理由にしているのがアリアリでしたが、お母様は毎日の様に電話をくれまして様々なお話をしてくれやがりました。おかげで本間ってばこのお母様の半生を知ることとなりまして、その失敗した結婚生活から転職への道、そして我が子への愛情をも語られて最後には必ずムチュコたんの純粋さを力説されるのですが、そのやり口は純粋さからは天竺並みにかけ離れていると講師一同思ったモンですよ。


 ある日、畠中くんが夜になっても次の日になっても帰って来ないという連絡がお母様からありまして、当然登校もしてなかったのですが半狂乱になったお母様は


「ウチのムチュコたんに何かあったら主任先生の責任ですからね!」


といった恫喝をされたのですが、そうは言ってもこちらとしては電話とメールしかしようがなく、そのどちらもナシの礫であったところ帰ってきたとお母様から連絡がありまして、何でも高校時代の友人の家で徹夜でスマブラをやっていたらしいです。コレってば学校にも主任にも関係ねぇよなぁと思ったのですが、その件に関しては完全スルーで電話を切られまして話は終わり、次の日から普通にまたお母様の電話の対応をする毎日が戻って来ましたとさ。


 この畠中くんのお母様、結局のところ八つ当たりの対象が欲しかった訳でして、それは畠中くんの事は勿論なのですが自身の満たされない人生についてもやりどころのない感情を誰かにぶつける事で晴らそうとしておりまして、我々講師陣が考えた対応策はそれを受け止めてさしあげるという作戦で、その対象が本間ということとなったのですが、僕の仕事はお絵描きを教える事だったのでは?と何度も思いましたよ。


 たまに自分も講師になりたいっすと夢見がちに言う生徒もおられるのですが、モノを教えて企業への内定をゲットした時には喜びを分かち合う。そんなイメージで講師という仕事に夢を持っちゃっている生徒は多かったりしますが、世間的に講師の仕事なんざほぼこんなカンジっすよ実際。

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