チーム制作問題

Pocket

 

 よく企業側の人事の方に聞かれるのが、「チーム制作はされないのですか?」といった質問なのですが、意図としては集団行動としてのゲーム制作が出来る人間が欲しいということだと思われます。ゲームというものは例外もあるのかもしれませんが一人で作るということはなくて何人かのチーム、場合によってはかなりの大人数で制作されるものでして、その中で協調性を発揮して円滑な人間関係の中で動ける人間が企業側としては欲しいワケであります。マ、わざわざそういった質問をされるという事は、人間関係的に企業側でも以前に痛い目に合った事があるという事でしょう。


 就職活動というフルイにかけられて採用された人間であっても問題を起こす事があるのですから人材採用というのはかなりのバクチ的要素があり、失敗すれば他部署からの白眼視を受けることとなるので人事というのもなかなか大変な仕事であると思われます。


 ンで、本間の勤めていた専門学校でチーム制作があったかと言われますと割と行いました。しかしまあそのモメることモメること。その理由としましては、所詮人間同士の話でありますから気の合う方、そうでない方がおりまして、そんな方々が一つの目標に向かってモノを作ろうっていうのですから問題も起こりますがな。それはどこにでもある話かと思われ、さして珍しい話でもないとは思うのですが、学校という狭い人間関係の中で沈殿していた澱の様な感情を簡単に露わにし爆発させる謂わば第一次大戦前のバルカン半島並みの火薬庫の様な課題でありました。


 さてそのチーム制作、どのような形で行われるのかと言われれば簡単に言いますとその年の在籍者人数にもよるのですが、数名づつのチームを作りキャラクター、世界観、背景、ストーリー、UI等をデザインし2Dまたは3Dによる制作を行いゲーム画面を作り上げて、最後にプレゼンテーションを行うといった形になります。チームの中ではリーダーを含めそれぞれ担当を決めてもらい、それに沿って自分の担当の仕事をする事になります。


 作られるチームは講師側で決定するのですが、中にはブチャラティチーム並みにバランスのとれたメンバーのチームも出来るのですが、逆にチョコラータとセッコのコンビのようにそいつら以外は絡めないという非常にキワモノかつニッチなチームも出来たりするのですが、結局どちらのチームもモメます。


 というのも企業内でのゲーム制作となれば、上下関係があり金銭的な責任もついて回るので、ある程度の事は我慢して「仕事」として割り切ったモノの作り方が出来るのですが、「学校」という同級生同士といった横並びの関係性のコミュニティの中でモノを作る事となると、命令するしない、仕事するしないといったところがモメる原因となるワケであります。


 では、具体的にはどんなモメごとがあったのでしょうか?以前にも書きましたが本間が一番最初に赴任した横浜校での生徒である不死本くんという方は、


「俺ァ、キャラデザしかやらねぇ」


という自らのスター性を前面に押し出した担当の要求をし、そのキャラデザが終わった後はチームのメンバーが制作をしている中で高イビキをかいていたのですが、その時のチーム内の殺気立った空気は忘れようがありません。もちろん講師の方でも叩き起こして指導をしたのですが、当の不死本くんの言い草が


「イヤ、自分の仕事は終わったンで。」


といったもので、CG担当の先生は「ンじゃしょうがないね♡」と物分かりの良い返答をした後、そのチームのフォローをして差し上げていました。


 これも以前書きましたが、真性クズのザラキヤマさんはチームで作るゲーム設定に自分の嗜好が反映されないという事で意欲を無くして登校しなくなった31歳児でありました。


 生徒の技術力によるクオリティや制作スピードの差から来る問題もありまして、このチーム制作、一応スケジュール管理も講師側でしておりまして、遅れているようであればケツを叩いて是正を促しておりましたが、制作も終盤ともなりますと色々と詰まってくるのはどこの世界も一緒。そんな中でとあるチームリーダーはメンバーに進行状況を確認するのですが、「出来ていない」というのはまだ良いのですが、「やっていない」というセリフを聞いた時にはその激怒したリーダーのマジの怒号が飛びましたわ。しかもそのメンバーってば毎日ネトゲにログインはしていましたから。


 このチーム制作、学校生活に模擬社会人生活がブレンドされた非常に特殊な授業でして、問題のある生徒さん達はバンバン消えていくことになり、そういった意味ではゲーム会社に内定を取れる人間かどうかの試金石であるとも言えます。しかし何故チーム制作という課題が企業側のウケが良いのかということを想像するに、実際のゲーム会社でエラい人の仕事が「逃げたデザイナーをハワイまで捕まえに行く(実話)」とか「ダメな下請けに発注した仕事を全て自分で直す(よくある)」といった様なクリエイティブ職の闇の仕事であるということを若者に少しでも知って欲しいという現役クリエイターの魂からの声なのではないかと思った時、夢だけでは食っていけねぇなぁという世知辛さを本間ってばヒシヒシと感じてしまいましたとさ。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です